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その恋を残して

第3章 私と、蒼空の秘密

「いいとこのお嬢様らしいぜ。毎日、高級車で送り迎えされてるってさ」

「――他には?」

「木田から聞いたのは、そのくらいだな。後は見ての通りじゃね? 口調が丁寧で大人しくて、最初の印象とあまり変わらないけど」

「でも、なんだか違って見える時って、ないか?」

「違って見えるって、どんな風に?」

「い、いや……」

 訊き返され、俺は言葉に詰まった。

 田口と木田の印象は、概ね昨日の帆月のものに近いと思われる。そして、その印象を覆すような帆月ことは知らない? だとすれば帆月は俺にだけ、その二面性を見せていることになるけど……。


「――!」

 授業後のHRが終わってすぐ、真っ先に席を立ち教室を出て行ったのは帆月だった。それを見ていた俺は、考えるより先に立ち上がると続くように教室を出る。

 早足に歩く帆月。その後を追いながら、声をかけるべきか俺は迷う。そんな風に女子の後を追う行為は、ストーカーみたいで嫌だった。だが、彼女がそんなに急いで何処に向かっているのかが、とにかく気になっていた。

 昇降口で靴を履き替え、帆月が向かった先は体育館の方向である。

 何故、こんな場所に――?

 帆月は体育館の裏手に回り込むと、一人ぽつんと立ち竦んでいた。

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