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その恋を残して

第3章 私と、蒼空の秘密

 そのまま昇降口まで走り続けた、俺たち――。

 帆月は立ち止ると、握っていた俺の手を放した。そして、暫く呼吸を整えてから。

「本当……なの?」

「な……なに?」

「さっき……先生が、呼んでいるって?」

「ああ、ゴメン……あれは、嘘」

「そう。松名くんて、嘘を言う人なんだね……」

 帆月は言って、俺をきっと睨んだ。

「こ、困っていると思ったから……迷惑だったのなら、謝るけど」

「あの人、しつこかったし……困っていたのは、その通り。だけどね……」

「だけど――?」

「昨日、蒼空に――」

 そう言いかけて、帆月は小さく首を振った。それから改めて、俺の目を見るとこう訊ねている。

「昨日、私に言ったこと……あれも嘘なの? それとも本心から言ったこと? 私は、それが知りたいと思ってる」

「!」

 いきなり核心の部分を突かれ、俺はたじろぐ。

 昨日、言ったことは謝りたいと思っていた。それは、あのタイミングで言うべきことではなかったと思うからだ。しかし、あの言葉が嘘か本当かと訊かれれば、その答えを、まだ自分の中に見つけてはいない。

 否、それは俺が逃げているだけなのか? 俺は帆月のことが、気になって仕方がない。それは、もう言い逃れができないことだろう。だったら、もしかして俺はもうとっくに……。

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