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その恋を残して

第6章 ここにいるよ

 そんなことを考えつつ、昼休みにパンを買おうと並んでいると――突然、俺は何者かに背中を小突かれた。

「――?」

 俺が振り向くと――

「よお。お前さぁ、あまり調子に乗ってんじゃねえぞ」

 怖い顔をした男が、背後に立っていた。

 はっきり言って、それは言われもないこと。俺は調子になんか乗っていないのだし、いきなり人のことを押しておいて、なにを言ってるんだと流石に少しムカつく。大体、誰だよ――と言いかけそうになった時。


 あ――!


 俺はその男の顔に、見覚えがあることに気づいた。

「放課後、体育館裏まで来い。いいか、絶対に逃げんなよ」

 そう言って去って行ったのは、内田という男。そう――先週、怜未(奴からすれば蒼空であろうが)に言いよってきた、サッカー部の男だった。

 その内田の背中を見送りつつ、俺は思う。なんだか厄介事になりそうだな、と。そんなことに巻き込まれるほど、暇はないのだけれど……。

 しかし、これも――

「イベント発生……かな?」

 たぶん、どう考えても違う気はしてる……。

「どうかしたのか?」

 パンを買い終えた田口が、俺に駆け寄った。

「いや……別に大した事じゃないよ」

 そう答えた俺を――

「そう?」

 田口が、何気なく眺めていた。

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