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その恋を残して

第6章 ここにいるよ


 その俺を待っていたのは、内田――を含めて四人の男たちだった。

「なんの用か、わかるよな?」

 と、訊かれ。

「いや、まったく」

 即答した俺を睨み、内田は顔色を変えた。

 挑発的な態度を取るのは得策ではない気はするけど、俺もあまり冷静ではいられない。

「お前――帆月蒼空と、付き合っているのか?」

「……」

 いっそのこと「そうだ」と答えようとして、それを止める。そう答えることで、内田を引かせることができるかもしれない。

 しかし、今は二人のことで、嘘をつきたくなかった。

「もし違うというのなら、引っ込んでろ。この前も、話してるところを邪魔しやがってよぉ。あの女には、俺が先に目をつけたんだからなっ!」


「――?」


 その時、教室で彼女を初めて見た時の衝撃が、俺の中に蘇っていた。


 先――だって?


 決して短気であるつもりはない、けれども。

 内田のその言葉には、カチンとくるものを覚えていた。

 普段なら、こんなこと絶対に言わない――

「お前の順番なんか、永遠に後だよ。というより――」

「なんだよ?」

 けれど――


「帆月蒼空――と、付き合うことができるのは、俺しかいない!」


「ハアッ――?」

 内田は大袈裟な声を上げると、仲間の男たちと顔を見合わせてニヤニヤと笑った。

「コイツ、なんか自信満々だぜ?」

「ホント、何様のつもりだっつーの」

「どうすんだよ、内田?」

 仲間たちが口々にそのように言ったのを聞き、内田はゆっくりと俺の方に近づいてきた。

「決まってるだろ。少し身のほどってのを、わからせってやんねーと」

 そう言うと、右の拳を大きく振りかぶった。

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