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初めての密会

第1章 プロローグ

(あーあ、なんであんな人と結婚したんだろう…)

結婚して二年、千晶は年齢が20歳離れた正樹と結婚したことを後悔していた。

正樹と出会ったのは、千晶が大学を卒業後に勤務していた会社で受付嬢をしていた時の事だった。営業で千晶の勤務している会社に訪れた正樹に、食事に誘われたことがきっかけだった。

初めて食事に行った時に軽い気持ちで連絡先は交換したが、社交辞令のつもりだった。しかし、それから頻繁に食事に誘われるようになり、正樹の猛烈なアプローチに押され、つきあう事になった。

知り合った頃の肩書きは営業課長だったが、どちらかといえば、うだつの上がらない雰囲気の正樹との恋愛に関して周りの友達からは、「もったないない」だの「もっといい男いっぱいいるのに…」だの散々な言われようだった。

千晶は特別美人なわけではないが、社交的な性格もあって男受けは悪くない方だった。初めての彼氏は高校生の時だったが、それなりに恋愛も経験してきた。正直、正樹との恋愛も最初は遊び半分のつもりだった。

しかし正樹は年上なのもあってか、紳士的で優しく接してくれた。小さい頃、両親が離婚して母子家庭で育ったせいもあるのだろうが、千晶は父親の愛情に飢えていた。正樹に父親の影を照らし合わせていたのかもしれない。

そうこうしているうちに互いに惹かれていくようになり千晶が26歳の時に結婚することになった。

結婚生活は順風満帆だった。別に子供ができたわけではなかったが、「結婚したら家庭に入ってほしい」とゆう正樹の希望を受け入れて、結婚と同時に退社して家庭に入った。

夜の生活も満足はしていた。正樹は年齢的に回数はこなせないものの、若い男とは違い自分本位ではないセックスで、千晶を悦ばせてくれた。

しかし、そんな生活は二年で破綻した。

結婚して二年後、正樹は営業部長に昇進した。収入は増えて家計は安定したが、出張が増え、帰りも遅くなりがちで次第に生活は、すれ違うようになった。もちろん夜の生活もなくなっていった。

正樹が時々、早く帰ってきても、お風呂と食事を終えると「疲れているから、ごめん」の一言で、一蹴される。

千晶は火照った身体を一人で毎日のように慰めていたが、欲求不満はまったく解消されない。このままでは、おかしくなってしまう…

そして、いけないとは思いつつも出会い系サイトに登録をした。

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