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テレフォン -約束-

第8章 冬の蝶




そんな、二次元の世界の画像を眺めながら、アタシなりにその地に移り住むことをイメージしたりしました

流木や貝殻を集めてアートを作ってみたり

小舟に揺られて夜の沖で月明かりを浴びてみたり

岬の突端に立ち大空へ向けて限界まで両手を広げてみたり


どれも素晴らしい生活や人生のように思えるけれど


・・・・どうしても
・・・・今すぐってワケにはいかないよ
・・・・もう少しだけ、時間が欲しいよ


アタシの現実が頭をよぎった瞬間に鮮やかだったイメージは、蜃気楼がドロドロにただれてゆくように消えるのでした

そんなため息をつきたい時にでも
アタシの感情の所在に関係なく
荒れ狂い激しく打ち寄せる波のようにバイブは唸り

所用や不在のウソは自分を苦しめるように思えるし
何より“まー君”の淋しさを癒してあげたくて


「・・・・もしもし」
出来るだけ明るく努めて電話に出るのでした


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