
テレフォン -約束-
第4章 シゴト
アタシは“殺される”恐怖心で半狂乱で泣き叫んでいたと思います
その姿と声は尋常では無かったのでしょう
男は電流を突如に遮断された電化製品のように、髪の毛と耳の制裁の力を緩め
「ごめん ごめん ごめん」
“まとも”を演じ出したのでした
慌てて、アタシの身体を後の祭りで労いそして、転がるようにして部屋を出てゆきました
そんな“まとも”を繕い装った日常で築いた
地位
家族
体裁
沙汰が大きくなり、失うのが怖くて逃げたのでしょう
・・・・ううん 違う
それよりも、怖いのは、その性癖を世間や会社や家族に晒されることなのでしょう
