
テレフォン -約束-
第5章 原色の気球と花束と
・・・・そんな、次の日の夕方
その日は“複雑積乱雲”の下でした
ぱらつき出した雨はシゴトのスタートを遅くして、エンドを早くする
・・・・そんな、予感がありました
滅多にハズレないアタシの予感でしたが
ボーイさんの嘲笑交じりの「レナちゃん、ご指名入りました」
出勤間もないアタシの呼ぶ声で反射的に待合室へ出向くと
・・・・そんな、由井さんは
ボーイさんの嘲笑も知らずに爽やかな笑顔で、まるで雨宿りにでも来たかのように立っていました
・・・・そんな、90分のご指名でした
なんとなく、指名された方が少し、恥ずかしくなるような感覚
・・・・そんな、由井さんは
ただ、都会の“体裁”知らずの田舎者だとも思え
・・・・そんな、由井さんは
アタシに対し、恋風に身を包ませているような感じもないけれど
何故か、アタシは、風鈴も鳴らないような微風の中で、ココロの中の風見鶏が
・・・・そんな、由井さんに
向いた感覚がありました
