
テレフォン -約束-
第6章 灰色の記憶
・・・・・・・・小学校に上がった当時
母がやっているお店のお客さんにいたずらをされていました
何をされてるのか、理解出来ませんでした
だから、アタシの記憶はひどく曖昧で
幼少時のいろんな記憶が欠けていて、この世でいちばん真っ黒な
“艶消し塗料”
で塗り潰した部分が多々あります
多分、それは自分を守る為なのかな…?
お母さんは、そんな犠牲だらけの仕事ばかりで家にいなくて、夜はやっぱり、お姉ちゃんと2人きりでした
でも、お姉ちゃんがいたから孤独じゃなかった
幼い2人はいつも寄り添ってました
何故か鍵がなかったのか、家に入れなかったあの日…
お姉ちゃんと2人で夜中までお母さんの帰りを寒空の下、玄関前で待っていたっけ…
・・・・でも
暗くても怖くなかった
いつも、お姉ちゃんがいてくれたからです
