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予定通りに衣装決めが終わり、次の仕事へ…
場所は事務所の別部屋だから移動は無し

「次は新曲の打ち合わせだね」

「おう…うわぁっ…」

廊下を歩いていると、智が大声を出し、つんのめった

「よっ！智」

「おまっ！いきなり飛び乗るなよ！
マジで転ぶかと思ったぞ⁈」

智の背中には、同じ事務所のアーティスト…
シンガーソングライターの二宮和也が乗っていた

歳は智よりも下なんだけど、芸歴は智よりも長い

以前は別の事務所…松岡さんが働いていた事務所に所属していて、松岡さんが担当マネージャーをしていたそうだ

松岡さんが独立する際に、松岡さんには内緒で前の事務所と話し合い、松岡さんの所に押しかけ同然で移籍した

前の社長も、二宮さんを発掘し育てたのは松岡さんだからと、快く認めてくれたとの事

色々な意味でやり手な人…才能豊かで、可愛くて、人の懐に入るのが上手い

彼の作る曲もまた然り…人の心に入り込み、惹きつける曲

今度の智の新曲は、その二宮さんに智自ら曲の提供をお願いした

「さ、仕事はじめよっか」

「その前に背中から降りろよっ」

「えー。いいじゃん、このまま会議室まで連れてってよ」

「やだよ！なんでお前のことおぶってかなきゃいけないんだ」

「智の為に来たから？
めちゃめちゃ忙しいスケジュールを、智の為に空けたんだけどなぁ…」

「うっ…わかったよ…
あ、翔。新曲の話はニノとふたりでするから、他の場所で待ってて」

「はい」

そうだよな…俺には踏み入れられない場所もあるんだ

「終わったらすぐに連絡する」

「ごめんね、櫻井くん。智、お借りしま〜す」

智の頭の後ろから顔を覗かせ、ニコッと可愛らしい笑顔を見せた二宮さん

「はい…よろしくお願いします」

頭を下げてふたりの背中を見送った