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Happiness day

第18章 Song for you

「智もだよ。
俺に怒ってるけど、自分は櫻井くんに対して悪いことしてない?
具合が悪いでもない人間を、恋人の目の前でおぶって、それを櫻井くんがどんな思いで見るか、考えなかった?」

「え、あっ…ごめん、翔。
つい、いつものノリで…」

「お前らが仲がいいのはわかってるからさ、今までは口にしてこなかったけど
ふたりとも、お互いのパートナーが他の人に触れられたり、触れたりすると激怒するんだろ?
それって、おかしいよな?
自分の事は棚に上げといてさ」

松本さんは、やっぱり大人だ
いや、俺が子供なのか…

松本さんは、今までもふたりが仲良くしている所を見てきたんだ
それでも、何も言わずにいた

今回ふたりに話したのは、俺の為…

俺が自分に自信がなくて、傷ついたりしたから

智の想いを、信じればいいだけの事だったのに…

「ごめんね、櫻井くん」

二宮さんが、バツが悪そうな顔で謝ってきた

「あっ、いえっ…気にしないでください
俺にも悪い所はあったんで」

松本さんは立ち上がると、俺の肩をポンっと叩いた

「櫻井くんは、悪くないから。
それに、今回の事は、二人にとってはとても良い勉強になったと思うよ?」

「勉強、ですか?」

「そう。歌を書く仕事をしてるんだから、人の心の痛みはわからないとね?
経験すればする程、良い歌詞が書けるようになるから」

そうか…これが智の肥やしになるなら、俺の嫉妬も悪くないモノなのかな

「そうですね。これから先、ふたりが作る歌を楽しみにしています
今日は一日、ありがとうございました」

松本さんにお礼を言うと、優しい微笑みを浮かべる

「お疲れ様、櫻井くん」

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