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「忘れてた？」

「うん…智くんのライブ初日って事しか頭になくて、自分の誕生日なんてすっかり抜け落ちてた」

「ははっ、翔らしい。自分の事は後回しなんだから」

後回しにしてるつもりはないけど、俺の誕生日なんかより、智のライブの方が楽しみだったから

だって初めてだよ？智がステージで歌ってる姿観られるの

最初は歌声だけ、そのあとはレコーディング

智に付いて10ヶ月経つけど、テレビ出演がない智だから、ステージでの生パフォーマンスを観る機会は今日までなかった

リハは観てたけど、ステージじゃないし、本気の歌唱でもない
昨日のステージでの通しリハが最初のチャンスだと思っていたのに、それすら観られなかった

「開けてみて」

「うん……え…これ⁉︎」

封筒の中から出てきたのは、今日の智のライブチケット

「今日は客席から観てて
松兄には許可取ってるから」

「なんで…」

俺が今1番望んでる事…智のライブをじっくり観たい

マネージャーとして、それは出来ない事だと思ってた
少しは観られるだろうけど、何かあった時の為に控えていなくちゃ駄目だから

「観たことないんだろ？俺のライブ
だからちゃんと観て欲しくて
松兄に頼んで、翔の誕生日に合わせて初日にして貰った
サポートには国分さんが付いてくれるから心配しないで」

「国分さん？大丈夫なの？体…」

「ん？あぁ…昨日のは仮病。
翔にリハを観てもらいたくなかったから、無理に別の仕事行って貰った」

「え！そんな事して大丈夫なの⁈」

「大丈夫…ってか、社長自らのアイデアだから
あの人、翔の事気に入ってるよなぁ…
俺がちょっと相談したら、何から何までお膳立てしてくれてさ
ちょっと妬けちゃうくらいだよ」

社長の協力の元なんだ…

手の中にあるチケットをもう一度確認する

「ありがとう智くん。最高に嬉しいプレゼントだよ」

「まだお礼は早いよ。ライブが終わったら聞かせて」

「うんっ」

どうしよう…ドキドキわくわくが止まらない