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智が作った炒飯と卵スープ
あんなにあっという間に作ったのに、めちゃくちゃ美味い

「スゲェなぁ…参考にしようと思ったけど、無理だわ」

「そうか？材料なんて大してないし、切って炒めるだけなんだから出来るだろ」

「いや！無理！この味付けとか絶妙じゃん？計量スプーン使わずに感覚だけでいっただろ」

炒飯を掬って頬張るが、何度口に入れても美味い

「いつもやってれば、ある程度感覚だけでいけるって」

「う〜ん。そこの域に到達するのに何年掛かるか…」

「やる気次第だろうけど。今までやる気ゼロだろ？
『さしすせそ』ぐらい置いてあるかと思ったのに、『そ』が無かったからなぁ」

「『さしすせそ』？何それ？」

「料理するのに必要な基本の調味料
それぞれの一文字を取って『さしすせそ』って言うんだよ」

調味料の一文字か…

『さしす』と『そ』はすぐに思いついたけど…

「『せ』って何？」

「『せ』は醤油。昔は『せうゆ』って書いてたかららしいよ？」

「へぇ、物知り〜。
でもさ、家にも『そ』置いてあっただろ？」

「え？俺が見る限りはなかったけど、どこに置いてあった？」

「ん？普通に冷蔵庫だけど」

「冷蔵庫の中は一通り見させて貰ったけど、なかったぞ？」

「あれ？切らしてたかな…
ソースは結構使うから、切れそうになると買っておくんだけど…」

「ぶはっ！…ごほっ…」

スープを飲んでた智が突然吹き出し、咳き込んだ

「大丈夫かっ？ほらティッシュ」

「んっ…サンキュ…」

智はティッシュを受け取り、口元を押さえる

「突然どうした？」

「どうした、って…お前が笑わせたんだろうが」

「へ？俺？」

何かしたっけ？おかしなこと

「『そ』はソースじゃなくて、味噌の『そ』だよ」

「えっ！そうだったの⁉︎なんの疑いもなくソースだと思った」

「基本の調味料って言ってるのに、ソースぶっ込んで来るようじゃ、確かに道は遠いかもな」

「ですよねぇ…」

これで、料理の道は遠のいだな

「そういうとこ、可愛いけど…」

「ん？」

智がスープを啜りながら何やら呟いたが、俺に話しかけた訳ではなさそうだから、いっか