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「来週かぁ…バレンタインデー」

智がテレビを観ながらボソッと言った

翌日、何気に点けていたテレビから流れてきたのは、バレンタインデー特集

「おっ、あのチョコ美味そう」

テレビ画面を食い入るように観ている智

「今年も貰えるんじゃないの？
美味しいチョコ」

「ん〜？貰えるかな？
今年は日曜日だから、貰えないかもな」

「そりゃ残念」

「でもねぇよ。貰うとお返し考えなきゃいけないし…
それなら自分で好きなやつ買って食った方が気が楽だ」

「まぁなぁ…義理チョコだったらそうだよなぁ」

下手げな物返すとセンスを疑われる
義理で貰った物の為に、そんな気を使っての買い物に時間を割くの、正直めんどい

じゃあ、智の事を本気で好きな人から貰ったら？
智はどうするんだろう…

「なぁ…本命貰ったらどうする？」

「俺に本命渡す物好きなんていないよ
もしいたとしても受け取らないけどな」

ちょっと意外…
智は優しいから、受け取ってあげるのだとばかり…
それでその後どうするのか聞きたかったのに

「なんでよ。彼女作るチャンスじゃん
恋人欲しくないの？」

「本命は決まってるから、その人以外からは受け取らない」

これまた意外な言葉に驚いた

「智…好きな人、いたんだ…」

「おう、いるよ」

優しい微笑みを浮かべ、それでもハッキリと答える智を見て、胸がチクッとした

その優しい表情は、相手の事を想ってだから…

智の愛情を、一身に受け止める女性を羨ましいと思ってしまった