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Happiness day

第20章 GUTS!

「うっ…掴みづらい…」

月曜日、朝イチで病院へ行って、ギブスを外してもらった

右手の使えるようになった俺は、早速ランチに社食で蕎麦を注文

それなのに、思ったように箸が使えない

「左腕に比べると細いな」

智が、ギブスの外れた右腕に触れる

「全然使ってないから、筋肉が落ちた…
手を握るだけでも違和感」

手を握ったり開いたりしてみせる

「まぁ、すぐに回復すんだろ
嫌でも使わなきゃならないからな、翔の場合」

「ん…だね」

左手で箸が使えるようになってたら、右手使わないで済んじゃうもんな

「誰か女子社員呼んできましょうか?」

前の席で食べるニノがニヤッと笑って聞いて来た

「余計なお世話。リハビリには丁度いいよ」

「そうですか。でもこれで大野さんもお役御免ですね
櫻井さん、寂しくなっちゃうんじゃないですか?」

「あー、それは…」

これはどう答えるべき?
男同士、同居する事だってあるんだから、事実を伝えておくべき?
変に誤魔化すと、後でバレた時ややこしくなりそう

「俺、翔の家に住むことにした」

悩んでいると、智が至って軽く答えた

「えっ?なんでですか?
もうお世話する必要ないでしょ?」

「んー、そうなんだけど
翔の家、住み心地がいいんだよなぁ…
翔も俺がいた方が手料理食えるから良いっていうし
お互い問題がないなら、このまま一緒に暮らしちゃおうか、ってなったんだよ」

「へ〜、シェアハウスですか
おふたり、余程気が合うんですね?
でもいいんですか?大野さん、彼女出来たんじゃないですか?」

「は?俺、彼女なんて出来てねぇぞ?」

「あれ?美味しいチョコをくれた方は?」

「美味しいチョコ?」

智は首を捻って考えると、すぐに思いついたようだ

「それ、翔が入れてくれたホットチョコだ」

一瞬動きの止まったニノが、次の瞬間にこりと笑った

「なんだ、そう言う事ですか…それなら全て納得です。お幸せに」

それなら何が納得?お幸せにって…

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