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Happiness day

第25章 夏疾風

「じゃあ、先に行くね?」

準備が整い、翔くんの方を振り返る

「いってらっしゃい」

小さく手を振って送り出してくれる
いつもより堅い笑顔だけど、それでも十分可愛い

これが終わったら、調べておいた近くのお店で休憩しよう

翔くんの好きなチーズケーキがめちゃ評判の、牧場内にあるお店

きっとスイーツ男子な翔くんは、目をキラキラして食べてくれるだろう

「いってきます」

翔くんに手を振りかえし、足を蹴り、大自然の中へ飛び出した

澄んだ空気の中、風を切って滑り降りて行くのは、想像以上に爽快!

これなら、翔くんの疲れも少しは癒されるかな…

結構な距離だったけど、あっと言う間に終わってしまった

係の人にハーネスを外して貰い、翔くんが来るのを待つ

………あれ?遅くね?
こんなに間隔って、空けるもん?

何かあったのかな…
心配になって、スタート位置に戻ろうかとも思ったけど
あの距離を歩きで戻ったら、確実に翔くんの方が先に着く

どうしたんだろう、翔くん…
顔色悪かったし、具合が悪くなっちゃったとか?

心配していると、遠くから叫び声が聞こえて来た

「い"ーーやぁーーーっ!!」

「えっ⁉︎翔くん⁈」

確かに誰かが滑り降りて来る姿は見えるけど…翔くんなのか?

それにしても、この叫び声…断末魔の叫び声のようだ

今まで生きて来た中で、実際耳にするのは初めてだな

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