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Happiness day

第25章 夏疾風

「う〜ん、おいし〜♪」

予想していた通り、チーズケーキを頬張る翔くんは満面の笑み

「牧場が経営してるお店だから
乳製品は全部美味いけど
このレアチーズケーキが一番人気なんだって」

「うんっ、わかる〜
この濃厚さ?一度食べたら忘れられない味
お土産に買って帰りたいけど、今日は泊まるから無理だよねぇ」

すっかりいつものスイーツ男子に戻って一安心

「明日、帰りにもう一度寄ろうよ」

「え?いいの?」

「うん。俺もかあちゃんに『買えたらチーズ買ってきて』って頼まれてるしね」

「おばさんに?じゃあ、絶対買って帰らなきゃ
おばさん、期待して待ってる」

「かあちゃんが俺に期待する事はないだろ…」

「そんな事ないよ!
おばさんに言われたもん
『何の取り柄もない子だけど、優しさだけは保証するから、ずっと仲良くしてあげてね?』って
だから『大丈夫です。わかってますから』って答えたら、凄く嬉しそうに笑ってた…
おばさん、智くんの前では智くんの事悪く言うけど、自慢の息子なんだって伝わって来たよ?
素敵なお母さんだなぁ、って…
これからも安心して付き合っていけると思った…」

俺の知らない所で、ふたりだけでそんな会話してたんだ…

かあちゃん。やっぱり、俺たちの関係に気付いてる?

女の勘って鋭いって言うけど、本当だな
いや、この場合は母親の勘なのか…

どっちにしても、翔くんとの付き合いを、身内が味方してくれるのは心強い

袖の下じゃないけどさ
チーズの詰め合わせ買って帰るから、楽しみに待っててよ

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