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Happiness day

第25章 夏疾風

着替えを取って、風呂場へ向かう

「ここだね」

入口には温泉マーク
奥さんに言われたように、下がっていた札を『入浴中』にひっくり返す

「これで良し」

「うん」

入口のドアを開けると、そのまま脱衣所で
広さは家の脱衣所より少し広いくらい

せいぜい大人3、4人が一度に着替えられる程度かな

なんとなく、お互い背を向けて服を脱ぐ

『どうせ見られるんだし』と言った翔くんの言葉が頭をよぎるけど

やっぱりね、ガン見しちゃ悪いかな…
ってか、オレが反応しちゃう事の方が気になって、直視は出来ない

翔くんが脱ぎ終わった事を気配で感じ
視線を逸らしたまま声を掛ける

「いこっか…」

「…うん」

俺の少し後ろから翔くんがついて来る

浴室のドアを開けると、少し明るさを抑えたオレンジ色の照明の中に湯気が浮かぶ

確かに温泉の雰囲気あるな…

「うわぁ…木の浴槽だ…僕、初めて入る」

翔くんもこの雰囲気にテンションが上がったみたい

「檜風呂ってやつかな?俺も初めて」

「家族風呂借りて良かったね」

翔くん、喜んでくれてる
旅の良い思い出が増えたかな

良い思い出を増やして、アスレチックの恐怖の思い出を打ち消さなくちゃ

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