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Happiness day

第26章 太陽の世界

俺が雅紀を好きになるまでに、そんなに時間は掛からなかった

女性との隔たりをなくす努力はしたけど
それはあくまでも、人としてってだけ…

だから、この一年で、何人かの女性に告白はされたものの、全部断った

理由は簡単…

誰一人として『嬉しい』と思えなかったから

『好き』と言われて嬉しかったのは、雅紀だけだ

女性から告白を受ける度に『違う』と思ってしまった

好きって言って欲しいのは、この人じゃないって…

でも、言って欲しいと願ってる相手は、言ってくれない

あの日以来、雅紀は俺に『好き』とは言わない

そりゃそうだ…俺が『想いに応えられない』って言ってしまったんだから

雅紀はその言葉を受け入れ、俺の側にいる

でも、このままずっと、側にいてくれるなんて、甘い考えなんだろうな…

俺が無理だとなれば、新たな相手を探すよな…

もしかして、既に見つかってる可能性だってある

店での人気を考えれば、雅紀だって、告白を受けてもおかしくない

「潤ちゃん?どうしたの?急に暗くない?」

今まで逃げて来たけど、逃げてちゃ駄目だ…

一生、側にいてくれるなんて、ありえないんだから
恋人が出来たら、そっちが優先になる

ずっと一緒にいたいなら、その位置に俺が立たないと…

「…雅紀」

「どうかしたの?お腹でも痛くなった?」

雅紀が心配そうに、俺の顔を覗き込む

「……雅紀は今…好きな人いるの?」

「………それ聞いてどうすんの?」

雅紀に硬い声で聞き返された

怒ってる?今更そんな話するなよ、って…

聞き慣れない雅紀の声色に、緊張が走る

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