テキストサイズ

Happiness day

第27章 movin’ on

「何で悩んでるんだ?
ジュンの方が雅紀に懐いてそうだけど」

雅紀の手に戯れつくジュンと、雅紀の手を頭の上に乗せたまま、伏せてしまったカズ

「う〜ん…そうなんだけどぉ…」

「この子たち、兄弟なんだよ」

雅紀が何で悩んでいるのか、俺の隣に立つ大野さんが教えてくれた

「兄弟?全然似てないですけど」

「ミックス犬だからね
毛の色や模様は個性が出る」

「へぇ…」

「この子たち、捨て犬なんだ…
生まれて間もない2匹が、段ボールに入れられて置かれていたのを
小学生の双子の兄弟が河川敷で見つけて、ここに連れてきた」

ここにいるのは保護された動物たちとは聞いていたけど、明らかに人間の手によって捨てられていたのか

しかも、生まれて間もない状態で河川敷に放置なんて
見つけられなかったら、死んでいたかも…

「その双子、地元の子じゃなくて
おばあちゃんの家に里帰りしてたんだけど、この子たちを見つけた日が、地元に帰る日だったんだ
生まれたての子犬をおばあちゃんに任せられないし
自分たちは、これから電車の長距離移動…
どうにもならなくて、ネットで調べてここに連れて来た」

「そうだったんですね」

子供たちは、子犬を放置する事もできず
考えた末で、ここに連れて来たのか…

「相葉くん、丁度その場に出くわして、そのやり取りを見ていたんだよね
子供たちが、泣く泣くこの子たちを此処に置いていく姿を見て
相葉くんは、この子たちを引き取りたいって思ってくれたんだ」

「でもね…どちらか1匹しか引き取れないから
どっちにしたらいいのか決められなくて…
あの双子ちゃんたちは、2匹ともしあわせになって欲しいと願っていたから
出来れば両方、俺が引き取りたいんだけど…」

「ごめんな?相葉くん…
ここの規定で、一度に譲渡出来るのは、一家庭に1匹だから…」

大野さんが、申し訳なさそうな顔をする

「ううん!それはしょうがない事だから、大野さんの責任じゃないし!
ただ、どっちにしたらいいのか…答えが出せなくて…」

2匹を見る雅紀の目が哀しそうに見えた

雅紀は引き離したくないんだろうな…カズとジュンを…

こんな責任重大な事…俺にアドバイスなんて出来ないよ…

ストーリーメニュー

TOPTOPへ