テキストサイズ

Happiness day

第27章 movin’ on

「翔ちゃん、さっき、ジュンの方が相葉くんになついてるって言っただろ?」

「はい。雅紀が声を掛けた時に、ジュンの方が喜んでるように見えたので…
それに今も…」

雅紀の手に戯れるジュンと、伏せたままのカズ

「2匹とも、相葉くんの事が大好きなんだよ?
ただ、カズはわかってるんだと思うんだ…」

「何をですか?」

「相葉くんが、1匹しか引き取れないって事…
だから、自分は身を引こうとしてるんじゃないかな?ジュンの為に…」

「そんな…犬なのに、そんな事わかるんですか?」

「もちろん、ちゃんと理解してるわけじゃないよ?
でも動物って敏感だから…
よく言うだろ?動物は、動物好きな人はわかるって
その人の出す空気で感じてるんじゃないかな
だから、相葉くんが悩んでる事も感じてるんだと思う」

そうか…あの微妙にパタパタしていた尻尾は、喜びの現れ

でも、ジュンの為にそれを押し隠して
雅紀にジュンを選ばせようとしてるのか…

「カズ…」

雅紀の手が、カズの頭から背中にかけて、ゆっくり何度も撫で下ろす

雅紀の悩みを感じ取れるカズは、おそらくジュンより繊細で優しい…

だからこそ、雅紀は迷っているんだろう

カズを選べばカズは心からしあわせになれない
でも、繊細なカズを誰かに任せるのも心配…

何かいい案があればいいんだけど…

雅紀の隣に座って2匹の様子を見ていると
ジュンが俺の方に歩いて来た

初めて見る人物に興味があるのか
俺の事をジッと見つめてる

手を伸ばし頭を撫でてやると、パタパタと尻尾を振った

ストーリーメニュー

TOPTOPへ