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Happiness day

第27章 movin’ on

「…本当に?」

「もしおばあちゃんがそのワンちゃんを飼っている事を苦にしてたなら
室内で放し飼いにしないと思うんだよね
大型犬なら、尚のこと…
でも、ずっと側にいたんでしょ?」

「はい。祖母の後を追うようにして、ついて歩いてました
祖母も、しょっちゅう体を撫でてましたし…」

「うん。なら、間違いないね
さっき言っただろ?
動物は敏感だから、人の思いを感じ取るって…
おばあちゃんもそのワンちゃんも
お互い、とてもしあわせな時間を過ごしたよ
今度、おばあちゃんに会った時、思い出話し聞いてごらん?
楽しかった事しか話さないと思うから」

祖母に聞いてないから、本当の所はまだ定かではない

でも、大野さんにそう言ってもらえて
心に抱えていた物が、少しだけ軽くなった

「…ありがとうございます」

「翔ちゃんさ、講習受けてみる?」

「え?」

大野さんがニコッと笑った

「相葉くんが連れて来た時点で、良い人なんだとは思ってたけど…
翔ちゃんにその気があるなら講習受けてみれば?
カズとジュンは、まだ小さいから、後1ヶ月は譲渡出来ない…
その間に講習受けて、それで本気でジュンを引き取りたいと思うなら、申請を出してよ」

「いいんですか?
俺なんかが受けて…」

「ペットを飼う資格は、翔ちゃんにはあると思うよ?
ちゃんと、ペットと飼い主の事、考えられてるもん」

「翔ちゃん…無理はしなくていいよ?
俺のせいで、翔ちゃんに苦労させたくないから…」

不安そうな雅紀の顔…

そうだよな…そんなつもりで雅紀はここに俺を連れて来た訳じゃない

雅紀はペットを飼う大変さを充分わかってるから、俺を心配してくれてる

「雅紀、お前の責任じゃないから…
俺は自分の意思で、講習を受ける事に決めたよ」

「翔ちゃん…」

「その代わり、講習を受けて、無理だと思ったら
ジュンの事、引き取らないからな?」

「うん、わかった」

引き取らないという選択肢を残したせいか、雅紀も納得してくれたようだ

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