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Happiness day

第27章 movin’ on

「はい、どうぞ」

ローテーブルに置かれたマグカップ

「ありがとうございます」

もうひとつ、マグカップを持った大野さんが、ニコッと笑うと隣に座った

他に座る所がないんだから、当たり前なんだけど、ちょっとソワソワする…

なんでだ?

初めてお邪魔した部屋だから?

そんなことないか…さっきまでは、そうでもなかった…

落ち着こうと、コーヒーをひとくち飲む

「あ、おいしい…」

「ほんと?良かった…
安いインスタントのコーヒーなんだけど」

大野さんは、何度もふぅふぅと息を吹き掛け、なかなか飲もうとしない

「大野さん…もしかして猫舌?」

「あ、バレた?」

「ははっ…それだけ冷ましてたらわかりますよ」

「ふふっ…だよねぇ」

大野さんの向こう側に、動く姿が見えた

「あ…モモ…」

「お?出てきたか」

のんびりと段ボールから出てきて、大野さんの足元に座る

「大野さんのこと、好きなんですね」

「餌をくれる人だからね」

「それだけじゃないでしょ?
こんなに近くに寄って来るんだから…
どんな動物でも大野さんには懐いちゃうよね、って雅紀とも話してたんですよ?」

「だといいんだけどねぇ…」

「今までにいたんですか?
懐いてくれなかった子」

「今まではいなかったかな…
動物ってさ、感情がわかりやすいから
それに合わせてやると、比較的懐いてくれんだよね」

「俺にはまだわかりません
カズの事もわからなかったし…」

「徐々にわかるよ
あ、こいつ、今構ってもらいたいんだな、とか…」

「ジュンはわかりやすいんですけどね」

「カズだってわかりやすいだろ?
戯れ付きはしないけど、相葉くんから離れない
相葉くんが好きだから、側にいたいんだよ」

「そう言われればそうですね」

「落ち着く場所なんだろうね…
カズにとって、相葉くんの側は…」

落ち着く場所か…

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