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Happiness day

第27章 movin’ on

「モモには、大野さんの側が落ち着く場所?」

「いや、そろそろ餌の時間だから催促しに来たんだろ?」

「え!じゃあ、用意してあげてください
俺、帰りますから」

慌てて立ち上がると、手首を掴まれた

「だから、そんなに急いで帰ろうとしないでよ…」

大野さんが哀しそうな目で俺を見上げてきた

そんな目されたら、俺が悪いことしてるみたいな気になる…

「そうじゃなくてっ、モモが待ってるから…」

「餌は缶詰だから、すぐ用意出来るよ」

俺の腕を軽く引き、ソファーに座らせると
入れ替わるように大野さんが立ち上がった

「モモ、ちょっと待っててな?」

大野さんがキッチンに消えて行く姿を見送って
大野さんに掴まれた左手首を、右手で握った

そんなに強く握られてないのに、その場所がジンジンして熱い…

さっきの指先といい、大野さんの手からは、何か特殊なパワーが出ているのか?

もしかして、それが動物たちが懐く理由?

だとしたら、俺も懐いちゃうじゃん!

てか、既に懐いてる…?

出会って1週間しか経ってない人の家に上がり込むなんて
よくよく考えると図々しくないか?俺

でも誘ってくれたのは大野さんだし…

大野さんにしてみれば、普通の事なのかも

俺を誘った時も『勉強になるから』って言ってた…

きっと、保護動物に興味を持った人は、みんな誘われてるんだ

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