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Happiness day

第27章 movin’ on

センターの駐車場に着き、車の中で雅紀に話した

雅紀から良い答えは得られると思ってないけど
ひとりでモヤモヤしてるよりは、参考意見程度でも聞けるんじゃないかと思ってたのに…

「簡単なことじゃん」

簡単なのか?
俺がこの1週間考えても、どうしたらいいかわからなかったのに?

「行ってあげなよ」

「どこに?」

「もちろん、大野さんの所でしょ」

「なんで俺が…
俺が行った所で何もしてあげられないよ」

「ふはっ!何もしなくていいんだよ
翔ちゃん、自分で言ったんだよ?
『ひとりで寂しい思いさせたくない』って…
翔ちゃんが行けば、大野さんはひとりじゃなくなるじゃん
それだけで、翔ちゃんが言ってる事は解消されると思うけど?」

「それはそうだけど…」

「それにね?翔ちゃんがそんなだと、ジュンとカズに会っても、2匹とも心配するよ?」

確かに、今、ジュンに会っても、心から楽しめないだろう…
だって、大野さんはサクラとモモと離れて、ひとりで寂しがってるんだもん…

俯く俺の頭に、雅紀の手が乗った

「行ってあげなって…
ジュンとカズも、今の大野さんの状況を知ったら、自分たちが行ってあげたいと思うよ
育ての親が寂しがってるんだもん
でも、あの2匹にそれは出来ないから
翔ちゃんがジュンとカズの分の思いも背負って、行ってあげて?」

そう言った雅紀の微笑みが優しいから…

「うん、わかった…俺、いってくるよ」

何が出来るかわからないけど、誰かいるだけで気は紛れるかもしれない

「いってらっしゃい!」

クシャクシャと雅紀の手が俺の頭を撫でる

雅紀…お前も動物に懐かれやすい奴だけど、まだ大野さんには及ばないな…

お前の手からは特別なパワーを感じないよ

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