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Happiness day

第27章 movin’ on

大野さんが家にいるかは、わからないけど
連絡先を知らないから、取り敢えず家へ向かった

この前はゆっくり歩いた道を、今日は少し早歩きで行く

エントランスで、大野さんの部屋番号を押すと、すぐに反応があった

『…はい』

「あ…櫻井です」

『えっ⁉︎翔ちゃん?』

「あの…突然すみません…来ちゃいました」

『あ、うん。ロック解除するから上がって来て?』

「はい」

エントランスの自動ドアが開き、エレベーターに乗り込む

良かった…家にいてくれて
しかも、何も聞かずにドアを開けてくれた

ちょっとドキドキしたんだよね…

『なんで来たの?』なんて聞かれたら、なんて答えたらいいのか、わからなかったから

大野さんの部屋の前に着くと、タイミングよく玄関のドアが開いた

「いっらっしゃい」

いつもの笑顔で迎えてくれたけど、目が少し赤い?

「あの、サクラとモモは…」

「もしかして、会いに来てくれたの?
なら、ごめんね?
もう施設の人が迎えに来てくれて、帰っちゃった」

ふにゃりと歪んだ顔が、いつもの笑顔じゃなくて、少し哀しそうな笑顔…

俺に申し訳ないと思って?
それとも、サクラとモモがいなくなったことを哀しんで?

「サクラたちはいないけど、良ければ上がって?」

もちろん上がるよ…俺が会いたかったのは、大野さんなんだから

「はい…お邪魔します」

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