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Happiness day

第27章 movin’ on

「「わんっ!わんっ!」」

「どうした?カズ、ジュン?」

「雅紀」

カズとジュンと遊んでいた雅紀
声を掛けると振り返り、少し驚いた顔をする

「あれ?翔ちゃん、帰って来たの?
もしかして、大野さんに会えなかった?」

「ううん。会えたよ」

「それなのに、もう帰って来ちゃったの?」

「うん…」

雅紀の隣に座ると、ジュンとカズが跳ねるように俺の方へ駆けてきた

「あれ?ジュンだけじゃなくカズも?
珍しい…」

雅紀が首を傾げる

カズがこんなにテンション高いのは確かに珍しい

俺が手を出すと、カズは俺の手に鼻を寄せ、クンクンと嗅ぐ

「あっ!もしかして…」

雅紀が何かに気がついたようだ

「なに?」

「翔ちゃんから大野さんの匂いがするんじゃない?
今日、大野さん休みで会えてないから、カズとジュン寂しかったんだよ、きっと」

「そう言うことか…
なんだ、カズも俺に会えて喜んでくれたのかと思った」

「落ち込まないでよ、翔ちゃんだけじゃないから
俺も一緒…大野さんには敵わないよねぇ」

「だな…」

大野さんには、誰も敵わないよ

「翔ちゃん、嬉しそう」

「え?」

「笑ってる」

「そ、そんなことないよ」

「よかったね?」

「…何がだよ」

「翔ちゃんがここに戻ってきたってことは
大野さん、大丈夫だったってことでしょ?」

「あ…うん。もう大丈夫だって…」

「くふっ…『もう大丈夫』なんだ?
行ってあげてよかったね?
でも、もう少しゆっくりしてきた方が、よかったんじゃないのぉ?」

「あ、いや…また行くから…
ごめん、帰りはひとりで帰ってもらっていい?」

あの後、大野さんから『夕食、一緒に食べよう』って誘われた

もちろん、断る理由なんてないから
一度、ジュンに会いに行ってくると言って、ここに来た
雅紀にも報告したかったし?

報告するまでもなく、雅紀にはバレてるみたいだけどな

「ふふっ…オッケー、オッケー!
よかったね翔ちゃん、おめでと!」

「うん…ありがと…」

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