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Happiness day

第28章 Crasy Moon ~キミ•ハ•ムテキ~

2日後に再びニノが仕事場を訪れた

「ごめん。確実な情報は得られなかった」

「そっか…こっちこそ悪かったな
余計な仕事させちまって…」

残念だけど、仕方がない…

ニノは、仕事に手を抜くような奴じゃないから、それなりに調べ上げてくれた結果だ

「ん。でもさ、まだ道が絶たれた訳じゃないんだ」

「え?どう言うことだ?」

「その広告の写真を撮ったカメラマンまでは辿り着いた
で、そのカメラマンとのアポは取れたんだけど、一緒に行く?」

「行くっ!」

「即答だね」

ニヤニヤ笑うニノ…でも、今の俺にはそんな事どうでもいい
だって、彼女の正体がわかるかも知れないんだから

ニノの運転する車で、そのカメラマンの事務所に向かう

「カメラマンの名前は『松岡昌宏』…
ファッション誌なんかを専門としてるカメラマンだって
でさ、その看板のポスターなんだけど
企画が特殊だったらしくて
化粧品は一般人が使う物なんだから、モデルも一般人を使おうって…
だから、素人さんなんだってさ、あの人」

「素人?あんなに綺麗な人なのに?」

「カメラマンの腕がいいのもあるんじゃない?
あの素人モデルを採用したのも松岡さんで
化粧品メーカーも、広告会社も、その人の素性を知らないんだってさ」

「だから辿り着けなかったのか…」

「松岡さんには、大体の話は通してある
でも、いい返事はもらえてない状態
『おそらく無理だろう』って…
1度きりの約束でモデルを引き受けてもらったんだってさ」

「じゃあ、会いに行く意味ないんじゃねぇの?」

「まぁ、そうかもね?
でもさ、折角手に入れた情報をそこで終わらせたくないでしょ?
直接会って、こちらの熱意を感じてもらえれば、彼女とコンタクトを取ってくれるかも…
モデルは無理だとしても、個人的に会える可能性もある」

「うん、そうだな。
簡単には諦めたくない」

「ふふっ…だろ?」

含みのある笑いだけど、それも気にならない

今の俺は、彼女に辿り着く事が何よりも最優先
ニノが興味本位で協力してくれていたとしても、ありがたい事だから

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