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Happiness day

第28章 Crasy Moon ~キミ•ハ•ムテキ~

ウィッグを外して現れたのは、いつもの長い前髪の櫻井さんじゃなく
短く、さっぱりとカットされた髪型の櫻井さん

「髪、切ったの?」

「うん。ウィッグ被るのに邪魔だったから」

櫻井さんは少し乱れていた髪を掻き上げ、ニコッと笑う

美形だ…しおんが美女なんだから、当たり前なんだけど…

「なんで長くしてたの?勿体ない」

「勿体ないって、何が?」

首を傾げる櫻井さんは、しおんだった時と同様に可愛い

「美人さんなのに、顔を隠してるから」

「美人じゃないし…」

やっぱりここも否定するんだ…
素の自分の良さがわかってないんだから、しおんの事もそりゃ否定するよな

「もしかして、眼鏡もダテ?」

今日一日、ノートに文字を書いてる姿を見てたけど、目が悪そうには見えなかった

「そう。あのポスターを撮ってから、顔を隠すようにしてた」

「どうして?」

「だって、松岡さんがあのポスターを撮ったって知ってる人が、松岡さんの側にいる俺の事を見たら
あの女性が俺だってバレて恥ずかしいじゃん?
だから、皆んなの記憶が薄れるまで、顔を隠しておこうと思った
そろそろ大丈夫かなぁ、って思ってたのに
まさか一年以上経って、彼女を探す人が出て来るとは思わなかったよ」

「それ程魅力的だったんだよ
一目惚れしたって言っただろ?」

「それは松岡さんの腕が良かったから…
俺自身に魅力がある訳じゃない」

「あるよ。今日だって、二目惚れしたし
今も、初めて本当の櫻井さん見て惚れ直したし?」

そう言うと、一瞬真顔になった櫻井さんが顔を紅く染め、視線を逸らした

「え、と…智には、そう言って貰えて嬉しい…かも…」

恥じらいを見せる櫻井さんに、キュンとする

この奥ゆかしさ?
今までの恋人たちには無い部分で、新鮮だ

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