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Happiness day

第28章 Crasy Moon ~キミ•ハ•ムテキ~

「大野さん、お邪魔するよ」

もうそろそろ仕事を切り上げようとしていたタイミングで、ニノが顔を出した

「おう。どうした?今日は」

「ん?仕事で近くに来たからコーヒー飲もうかな、って寄っただけ」

「ウチはサテンじゃねえぞ…」

「いいじゃないの、って、あれ?コーヒー変えたんだ」

勝手知ったるでコーヒーを淹れようとしていたニノが、新たに置かれていたコーヒーメーカーに目を留める

「あぁ、インスタントもあるから、そっち飲めよ」

「え〜、ケチくさ。美味しいの淹れてよ
この前の表紙、評判良かったから
今後のギャラ上がるでしょ?」

「別にケチってる訳じゃねぇよ…
これから用があるから、とっとと飲んで帰れって言ってんの」

「なに?用って…
こんな時間から仕事の用じゃないだろ?」

仕方なし、といった感じでニノがインスタントのコーヒーの粉をカップに入れ、お湯を注ぐ

「ん?…まぁ…ちょっと…」

「なになに?なんか怪しいんですけどぉ」

コーヒーカップを持って、ニノが俺の方に近づいて来る

「別に怪しいことなんて何もないよ…」

「そう?最近楽しそうだから、あのモデルの子と上手く行ったのかと思った」

さすがニノ…長い付き合いなだけあって鋭い…

「ま、そんな訳ないか…
あんな美人さんが智を選ぶ必要ないもんね」

こんな俺でも選んでくれましたけど?

「彼女に絵、見せたの?」

彼女じゃないけど…

「一番最初に見てもらったよ」

「怒られなかった?」

「うん。素敵だって言ってくれた」

「へぇ…あんな、誰がモデルでもいいような絵だったのに?」

「誰でも良くねぇよ…」

翔だから思いついたんだ

結局、表紙の絵には翔の顔全てを描く事はなかった…

だってさ、一目惚れする相手って、人によって違うじゃん?
だから、表紙の絵は月の光で顔をぼやかして、唇だけ微笑ませた

あとは各々、好きに想像して貰えるように…

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