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Happiness day

第11章 Your Eyes

「えっ⁈」

ドアが開かれるなり目に飛び込んできたのは、大きなキャンバスに描かれた俺の肖像画…

「驚いた?」

「あ…う、ん…大野さんが俺の絵を描いてくれてたなんて知らなかったから…」

「驚くのはまだ早いよ?」

智くんが俺の手を取り、部屋の中へと導いて行く

部屋の真ん中まで連れて行かれると、智くんの言っていた事がわかった

さっきの絵は、イーゼルに立てられ
すぐ目に入る場所に置かれていたけど

部屋の入口では見えていなかった所…

ソファーの背もたれや
床に直接置かれ、壁に立てかけられた絵が
所狭しと飾られている

そして、そこに描かれているのは、全部俺…

「な、んで…?」

一枚描くのだって大変なのに…
なんでこんなに沢山俺の絵を?

「いつの間にか増えてた…」

呆然とする俺に、智くんが苦笑いを向ける

「いつの間にかって…
貴方、そんな暇じゃないでしょ?
みんなに描いてって頼まれてるのに
頼んでもない俺の絵をこんなに描くなんて…」

「確かに頼まれてはないな」

「他の絵を描く時間に当てたらよかったのに」

いつも時間に迫られながら描いてるんだから
俺の絵なんて描いていなければ、もっと時間に余裕が生まれただろうに…

「この絵たちはさぁ…
考えて描いたんじゃなくて、手が勝手に描いたんだよなぁ」

智くんが、指で鼻の頭をポリポリと掻く

「どういう事?」

「だからぁ…俺の頭に浮かんだモノを、手が勝手に描いたの」

「頭に浮かんだ?俺の顔が?」

こんなに沢山の絵を描くくらい?

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