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Happiness day

第16章 サクラ咲ケ

今日行く場所は、新年を迎えるタイミングで打ち上げ花火を上げる神社

家からは離れた場所だから、電車での移動

待ち合わせの駅に向かうと、改札口傍に立つ彼の姿が…

「翔くん」

彼の名前を呼ぶと、顔を上げこちらを向く

「智くん」

微笑みを浮かべ、小さく手を振る翔くん
なんて可愛いんだ…
それだけで俺の鼓動は小さく跳ねる

この一年の間に変わった事がいくつかある

まず、翔くんが眼鏡からコンタクトレンズに変えた
これで、いつでも翔くんの綺麗な瞳がよく見えるようになった

それともう一つ、お互いの呼び方が、苗字から名前に変わった

少し独特なイントネーションの『智くん』呼びがこれまた可愛い

翔くんの事を知れば知る程、彼に惹かれていき
はじめは、原因のわからなかった胸の鼓動のたかまりが
翔くんに恋してるせいなんだってわかるのに、それほど時間は掛からなかった

「ごめんね、待たせた?」

翔くんの正面に立ち、翔くんの綺麗な目を見つめる

「ううん。僕も今着いたばっかり」

小さく首を横に振る

絶対嘘だよね?
翔くんと待ち合わせして、俺が先に着いた試しがない

俺だって遅れてる訳じゃない
なんなら、他の奴と待ち合わせしてる時よりは、断然早く着いてる

でも、それ以上に翔くんは早く着いて、俺を待ってるんだ

俺が早く来る理由は、一刻も早く翔くんに逢いたいから…
じゃあ、翔くんの理由は?

相手を待たせたくないってだけの理由?
それとも…

こんな些細な事にも、期待を抱いてしまうんだ

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