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Happiness day

第16章 サクラ咲ケ

電車に乗り暫くすると
目的の駅に近づくに連れ、乗り込む人の数が増えて来た

通常なら、この時間帯にこんなに多くの人が電車に乗る事もないと思うんだけど
同じ神社へ向かう人が多いんだろう

背後にいる人とも、かなり密着した状態だ

「凄い人になって来たな…翔くん大丈夫?」

ぎゅうぎゅう詰めで電車に揺られるのは、結構キツい

「うん、大丈…うわっ…」

不意に電車が大きく揺れ、翔くんが後ろの人に押され俺にもたれ掛かる

「ごめんっ、智くん」

「大丈夫。キツかったらそのままでいいし」

「でもそれじゃ、智くんが大変…」

「俺、体力だけが取り柄だから全然大丈夫。
だから、遠慮なく寄りかかって?」

「ありがとう。
でも、智くんの取り柄は体力だけじゃないからね?」

耳元で聴こえる翔くんの声

「え?」

「智くんには、沢山の取り柄があるよ?
面白いし…それに優しい…」

俺の肩に掛かる翔くんの手に、少し力が入るのがわかった

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