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Happiness day

第16章 サクラ咲ケ

そっと触れると、ぎゅっと握り返される手

「い、いこっか…」

「…うん」

ふたり、ピタリと体を寄せ合い歩き出した

翔くんの言うように寒いのに、翔くんがいる右側だけがやけに温かい
繋いでいる右手に関しては、熱いくらいだ

神社の近くに来ると、屋台が立ち並ぶ

「あ、イチゴ飴!」

屋台の看板を見て、少しテンションが上がる翔くん

でもその看板に書かれているのは『リんご飴」

「イチゴ飴?りんごじゃなくて?」

「今はりんごだけじゃなくて、他のフルーツもあるんだよ?ほらっ!」

店の前で立ち止まり、嬉しそうに屋台に並ぶ飴を指さす

「どれがいいかなぁ…
イチゴ?ん〜、ぶどうもいいな…」

相変わらずのスイーツ男子
キラキラの瞳で飴たちを見ている

「翔くんはイチゴにしなよ
俺がぶどうにして、翔くんに一粒あげるから」

イチゴ飴は一粒だけど、ぶどう飴は3つが串に連なっているから分けてあげられる

「えっ!そんなの智くんに悪いよ」

「ううん、大丈夫。俺はそんなにいらないから。
おじちゃん、イチゴとぶどう1つずつちょうだい」

「あいよっ。好きなの選んで取って」

イチゴとぶどうを一本ずつ取って、代金をおじちゃんに渡す

「まいどありっ」

手にしたイチゴ飴を翔くんに渡した

「はい、どうぞ」

「ありがとう」

飴を受け取った翔くんが、お財布からお金を出す

「はい、これ」

差し出された手
お金を受け取る為に手のひらを上に向けた
置かれたコインは、イチゴ飴代よりも100円多い

「翔くん、多いよ?」

「ぶどう飴一粒分」

真面目なキミらしい…

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