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Melting Sweet

第3章 Act.3

 そのうち、職場内の同僚達がわらわらと集まり、個室の座席は埋まってゆく。
 主役の課長も到着し、いよいよ宴会が始まった。

 軽い挨拶、乾杯も済むと、それぞれは自由に飲み食いする。
 お酌のために個室内を回る女の子達を尻目に、私はひとりでビールを喉に流し込み、適当に料理をつまむ。
 味は決して悪くないけど、感動的に美味しいわけでもない。

 杉本君も、私の隣で黙々とビールを呷っている。
 あっという間にグラスを空にして、それをお酌に回っていた子は目聡く見付け、新たに注ぎに来た。

「杉本さん、お疲れ様です!」

 無邪気に挨拶しながら、彼女は杉本君のグラスにビールを注いでゆく。
 その子は、私と杉本君を見てヒソヒソしていた子だった。

「ああ、ありがとう」

 杉本君はお礼を言いながら彼女のお酌を受けている。

「ねえ、杉本さんは行きますよね?」

「行くって、どこに?」

「だからあ、二次会ですよ、二次会! これが終わったら、その流れでカラオケ行こうって前々から言ってたじゃないですか!」

「え、そうだっけ?」

「そうですよお。やだ、忘れないで下さいよ!」

 彼女とは対照的に、杉本君のテンションは低めだ。
 私とここまで向かっている間は無駄に煩かったのに、この温度差はどういうことなのだろう。
 私は訝しく思いつつ、ビールを口にしながらふたりの会話を耳をダンボにして聴いていた。

「唐沢さんはどうします?」

 静かに飲んでいる横で、突然振られた。
 話しかけられるなどとは考えていなかった私はギョッとして、危うくビールを噴き出しそうになってしまった。

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