Melting Sweet
第3章 Act.3
「どうします?」
何も反応しない私に重ねて訊ねてくる。
もちろん、振ってきたのは彼女ではなく杉本君だ。
私はグラスを持ったまま、隣の杉本君と、いつの間にか杉本君を挟んで座っていた彼女を交互に見比べた。
杉本君は口元に笑みを湛え、対照的に、彼女は眉間に皺を刻み、杉本君を恨めしそうに睨んでいる。
『この女も誘うの?』とでも言いたげに。
彼女の視線に全く気付いていない杉本君は、笑顔で私の答えを待っている。
私は少し考え、けれども、端から一次会だけで帰ろうと思っていたから、「いいわ」と首を横に振った。
「遠慮しとく。二次会ぐらいは若い子だけで盛り上がりたいでしょ? どっちにしても、今日は早めに帰りたいし」
「そっか……。あまり体調良くないみたいですもんね……」
身体は至って健康なのに、誤解されていたようだ。
杉本君は笑顔をスッと消し、心配そうに私を見つめる。
一方で、彼女は先ほどまでの険しい表情を一変させてニッコリと嬉しそうにしている。
「それなら無理しちゃダメですねえ! 唐沢さんみたいな人が仕事休んだりしたら大変ですもん! 大切な戦力ですし!」
私が二次会を辞退したとたん、心にもないことをよく喋る。
彼女の態度に心底呆れたけれど、突っ込むのも面倒で、代わりに苦笑いを返した。
「それじゃ、杉本さんは二次会参加決定ですね! ねえねえ、杉本さんはどんなのを普段歌うんですかあ?」
彼女の興味は私から杉本君へと移る。
いや、元から彼女は杉本君にしか話しかけていなかったのだけど。
そして、杉本君と彼女をひっそりと観察しているうちに察した。
何も反応しない私に重ねて訊ねてくる。
もちろん、振ってきたのは彼女ではなく杉本君だ。
私はグラスを持ったまま、隣の杉本君と、いつの間にか杉本君を挟んで座っていた彼女を交互に見比べた。
杉本君は口元に笑みを湛え、対照的に、彼女は眉間に皺を刻み、杉本君を恨めしそうに睨んでいる。
『この女も誘うの?』とでも言いたげに。
彼女の視線に全く気付いていない杉本君は、笑顔で私の答えを待っている。
私は少し考え、けれども、端から一次会だけで帰ろうと思っていたから、「いいわ」と首を横に振った。
「遠慮しとく。二次会ぐらいは若い子だけで盛り上がりたいでしょ? どっちにしても、今日は早めに帰りたいし」
「そっか……。あまり体調良くないみたいですもんね……」
身体は至って健康なのに、誤解されていたようだ。
杉本君は笑顔をスッと消し、心配そうに私を見つめる。
一方で、彼女は先ほどまでの険しい表情を一変させてニッコリと嬉しそうにしている。
「それなら無理しちゃダメですねえ! 唐沢さんみたいな人が仕事休んだりしたら大変ですもん! 大切な戦力ですし!」
私が二次会を辞退したとたん、心にもないことをよく喋る。
彼女の態度に心底呆れたけれど、突っ込むのも面倒で、代わりに苦笑いを返した。
「それじゃ、杉本さんは二次会参加決定ですね! ねえねえ、杉本さんはどんなのを普段歌うんですかあ?」
彼女の興味は私から杉本君へと移る。
いや、元から彼女は杉本君にしか話しかけていなかったのだけど。
そして、杉本君と彼女をひっそりと観察しているうちに察した。