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君の光になる。

第6章 ある月曜日

 安倍の声が自分に向いたような感じがした。トニックシャンプーの匂いが夕子の左側にあった。
 
 その手が夕子の手の甲に触れた。
 
 夕子の手のひらを冷たい手のひらが包んだ。
 
 ――安倍さん。
 
 夕子がその手を握り返す。大きな手のひらを……。左腕に筋肉質の腕が当たる。
 
 トニックシャンプーの匂いが近づいた。
 
「……安心します。安倍さんに手をギュッとしてもらうと……」
 
 胸が高鳴った。
 
「…………立花さん…………」
 
 ――えっ……?
 
「………………はい……」
 
 夕子の唇が、柔らかく温かい物に覆われる。
 
 夕子は目を固く閉じた。息が苦しい。唇の先が啄まれる。
 
「あ……安倍さん……あ……周りに誰かいませんか?」
 
 テロンとした温かい物が夕子の唇に入り込む。ネットリとしたそれが夕子の舌先と戯れる。安倍の舌先に夕子の口腔を舐め干されるかのようだ。その都度、生温い唾液が送り込まれる。
 
「ああ、立花さん、好きです」
 
「んくっ、んくっ、嬉しい……私も大好きです。安倍さん」
 
 再び安倍の舌先が夕子の口腔を探り始めた。熱いものが溢れそうな感覚に戸惑う。

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