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その瞳にうつりたくて…

第2章 音色

ピアノの音?
まぁ、ここは俳優やアーティストを育てる学校。
ピアノの音色が聞こえて来たところで何ら不思議はない。
きっと平井先生の生徒がピアノの練習でもしてるのだろう。
休み時間だというのに感心だな。

ぼんやりとそんな事を考えながらレッスン室へ帰ろうとした時だ。

あれ?この曲、どっかで聞いたことあるな…。
この曲って…

「…っ!?」


別に特別意識をしたわけじゃない。
ただ、そのピアノの音色に耳を傾けただけだ。
そこで俺はあることに気がついた。
そのピアノが奏でるメロディーには聞き覚えがあったからだ。

そのメロディー…、俺はそのメロディーを思い出した瞬間、足が止まった。



~♪♪、♪♪~♪ッッ!!



このメロディーって…。

クラシックでもJ-POPでもない軽快なこのメロディー。
これは…



「――――――っ!?」






この曲って…
今の時代、この曲でピンッと来る人間は俺ぐらいだろう。




俺が昔主役を張ったあの戦隊物のオープニング曲じゃねぇかっ!?







聞き間違えるはずがない。
この曲は、当時俺が何回も何回も聞いていたメロディーなんだから。
初めてテレビ放送された時も、特撮ショーでテーマパークに行ったときも、何回も何回も聞いたあの曲だ。

え…?何でその曲が今流れてるんだ?
つーか、誰かが引いてるのか?
平井先生?
いや、平井先生は俺が出てた戦隊物は見てないって言ってたし…。

じゃあ、誰がこの曲を引いてるんだ?

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