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その瞳にうつりたくて…

第2章 音色

少し隙間の開いてるドア。
ピアノを弾いてるの人間を確かめようと中を覗き込んだ。
しかし、角度的に教室内の様子が見えるだけで人影すら見えない。
見えるのは床と壁、防犯ガラスのような大きくて分厚い窓。
更に中を確認しようとゆっくりとドアを開ける。
自分1人がようやく滑り込めるぐらいにまでドアを開けて、ゆっくりと顔を差し込んだ。
これで教室内を見渡せる。

誰だ、こんな曲を弾いてるのは?
俺の事をからかうつもりで弾いてるならタダじゃ――――――。





「――――っ」





その瞬間、俺は息を飲んだ。






教室の奥、大きなグランドピアノが置かれている。
そのグランドピアノに腰かけて、俺に横顔を見せるかのようにピアノを弾いてる人物。

栗色の柔らかそうなロングヘアーを軽くなびかせながら
その横顔からは楽しさすら感じさせるような表情で
一人の女性がピアノを弾いていた。

俺が主役をしたあの戦隊物の主題歌を。



あ、だ、誰だ、この女性は…?
少なくとも俺のクラスの生徒じゃない。
こんな女性、見たこともない。
もしかして、平井先生のクラスの生徒か?

声をかけようとしたが、そのピアノの音色があまりにも綺麗で
あまりにも楽しそうにピアノを弾いてるものだから
俺は声を発するのを忘れてしまった。

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