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その瞳にうつりたくて…

第2章 音色

え?えっ!?ちょっ…っ!

足元を見ると、俺の足に引っ掛かったのはレッスン室を掃除するほうき。
壁に立て掛けてあったほうきに気づかず、俺はこのほうきに足を引っ掛かけてしまったようだ。

な、何だよこのマンガみたいなアクシデントはっ!?


~♪♪~♪――――――…。


ほうきが床に倒れた音に驚いたのかピアノの音色が止まった。

反射的にヤバい、と思い、ゆっくり彼女の方を見ると…

「あ…」



ピアノを弾いていた彼女は、ピアノを弾くのを辞めこちらをじっと見つめていた。



うわぁ、どうすんだよ、この状況…。
めちゃくちゃ気まずいし、恥ずかしいんだけど。


そこで俺は、あることに気づいた。


彼女が今弾いていたのは俺が主役を張った戦隊物のオープニング曲。
その戦隊物の主役だった俺が目の前にいる…。



何 だ よ こ の 状 況 は ! ?




彼女は何も言わずにこちらを見つめてる。
こんな事ならさっきさっさと声をかけて軽い談笑でもしてこの場を終わらせればよかったじゃねぇか!

と、焦りに焦ってももう後の祭り。

あ、気付かれたかな…?
どういう理由でこの曲を弾いてたかはわからないが、目の前に本物が現れて焦ってる、とか?

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