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その瞳にうつりたくて…

第3章 再会

「懐かしいですよね~。私達の子供の頃に流行りませんでした?口裂け女とか人面犬とか」
「はぁ、まぁ…」

平井先生の中で俺が見た女性は幽霊認定されてしまったようだ。
でも、あれはどう見ても幽霊とかじゃないような気がする。
妙にリアルだったし、現に俺は転んでしまった彼女を支えるために肩に触れられた。
それに、幽霊がほうきを踏んづけてこけるか?
まぁ、俺は幽霊や妖怪なんて信じてないけど。

平井先生の話を聞きながら俺は頼んだ芋焼酎を飲んでいた。

腕時計を見ると時間は夜の9時。
つーか、平井先生…、こんな時間まで飲んでて大丈夫なのか?

「平井先生、時間大丈夫なんですか?」

仕事が終わったのは夕方の6時。
この店に着いたのが6時半で、計算してみるとかれこれ2時間弱飲み食いしてる。
俺は独り身だし門限もなければ待ってくれてる人もいない。
でも平井先生は既婚者だ。
誘って来たのは平井先生からだが、こんな時間まで職場の男と飲んでて大丈夫なのか?

「あー、大丈夫ですよ。主人は今日も残業だし、うちは子宝に恵まれませんでしたから」

あっけらかんとねぎまを食べビールを飲みながら答えてくれた。

「そうですか…」

ま、平井先生本人が大丈夫というなら大丈夫か。
別に俺と平井先生の間には何も疚しい事なんかないんだしな。


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