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その瞳にうつりたくて…

第3章 再会

でも、俺が見たあの女性は本当に幽霊だったのだろうか?

幽霊が俺が出てた戦隊物の主題歌をピアノで弾くなんてそれはそれでシュールな化かし方だな。

「加藤先生も~、あんまり思い詰めない方がいいですよ~。生徒と言っても10代だけじゃなく20代もいるんですから~」

ビールジョッキを片手に平井先生は俺の肩をバンバン叩きながら俺を励まそうとしてくれているが…
平井先生って酒に弱いのか?酒乱か?
まだビールジョッキ2杯目なのにこの乱れよう…。
呂律は回ってないし、目も虚ろだし。
っていうか、精神的に思い詰めた余りに見た幻覚扱いになってるし。


確かに、平井先生の言う通り、うちの学校に通ってるのは10代ばかりじゃない。
20代半ばぐらいの生徒もいる。
みんながみんな、素直に指導員の話を聞く生徒ばかりじゃない。

だけど、そんな事で思い詰めたりなんかしない。
影でこそこそ言われるのは慣れてる。
慣れてる…、つもりだ。

店内に流れてるのは有線チャンネル。
最近のヒットチャートが流れてる。
どれもこれもコンビニ等で耳にしたことのある曲ばかり。
でも、俺の耳にこびりついてるのは今日のピアノのメロディー。

あの女性が奏でていたピアノのメロディーだ。
自分が出演していた番組だからというのもあるが。

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