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その瞳にうつりたくて…

第3章 再会

もし、あの子が俺の正体を知ったらどうする?
この学校で指導員をしてる知ったらどう思うだろう。
過去に主役を張った俺がここで指導員として働いてると知ったら…。
幻滅される?驚く?喜ぶ?
彼女の反応が全く読めない。

それでも俺は、もう1度彼女に会いたかった。
彼女が奏でるピアノのメロディーを聞きたかった。




そして、生徒全員の寸劇が終わったところで休憩時間になった。
生徒達が次々にレッスン室から出ていく。
水分補給をする者やスマホで誰かに連絡する者。
各自が思い思いに過ごしている。

いつもなら俺も水分補給をしてトイレに行き適当にダラダラと時間を潰しているが、今日の俺は足早にレッスン室を後にした。

全ての疑問を解いてスッキリしたかった。
彼女が何者かやどこの誰かなのかを知りたかった。
一瞬、平井先生の言葉が脳裏を過った。
マジで幽霊かもと思ったが、こんな真っ昼間に幽霊も出ないだろう。

俺は昨日の記憶を頼りに第三音楽室へ向かった。
今日、音楽室に行ったところで彼女に会える保証はない。
彼女はもういないかも知れない。

それでも、1%しかないかも知れない可能性にかけて、胸の高鳴りを抑えて俺は第三音楽室へと向かった。
この胸の高鳴りは恐怖からか?
それとも、今度こそ正体がバレるかも知れない不安からか?

耳を済ませながら廊下を歩いていく。
彼女のピアノの音色ならすぐにわかると思った。

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