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「ところで、昨日弾いてた曲なんだけど…」
「昨日弾いてた曲、ですか？」

俺が知りたいのはそこだ。
何故、今になってあんな曲を弾いていたのか？
俺がここで指導員をしてると知っててからかったのか？

「あ、あの…、昔テレビやってた戦隊物の主題歌」

そんな悪戯をしそうな感じには見えない。
悪意はなさそうだけど、俺にとっては不思議だ。
何故あの曲を…？

「あ、あの曲ですか！」

すると、彼女は目を輝かせパァッと明るい表情を見せた。
そして

「昔、あの戦隊物が大好きだったんですっ！大人になった今でも大好きでたまにDVDとか借りて見ちゃってるんですっ！」
「…っ！？」

急に大声で嬉しそうに語る彼女に俺は拍子抜けしてしまった。

え？ただ単にあの戦隊物が好きだったから？
それだけの理由でピアノを弾いていたのか？

「せっかくピアノでリハビリ出来るんだから自分の好きな曲を弾きたいじゃないですかっ！あー、今思い出しても超かっこいい～」

取り付く島もないほどに戦隊物への想いを語ってくれるが、何なんだこの子は。
ただの特撮マニアってやつか？

な、何だ…。
変な心配をして損した。
別に俺をからかうつもりはないらしいな。

全ての謎は解けたが、真実はあまりにも呆気ない。
解けてしまえば拍子抜けする理由ばかりだ。