テキストサイズ

その瞳にうつりたくて…

第3章 再会

「確かに、戦隊物の後はあんまりテレビで見なくなったんですよねー。今は消息もわからないみたいですし」

そりゃそうだ。
あの後、戦隊物のイメージが付いた俺には仕事の以来は全く来なかった。
あったとしてもチョイ役のエキストラばかり。
ここで指導員をしてることだって外部には漏れていない。
まぁ、昔の戦隊物の俳優がどうなったかなんて誰も興味がないだろうし、ネットにも載ってない。

「もしかしたら、結婚して温かい家庭を築いてらっしゃるかも」

…いや、残念ながらそれはなかった。
芝居一筋だった俺は温かな家庭を築けなかった。
憧れはあったが、手が届かなかった。

「でも、やっぱり…、いくつになってもレッドは私の憧れで大好きな人です!」



え…?
えぇぇ…っ!
マ、マジかよ…っ!





俺が初恋の相手…。
まだ4歳だったこの子がテレビで俺の姿を見て憧れてくれた。

戦隊物の視聴者のターゲットはチビッ子。
それも圧倒的に男の子が多いが、中には女の子もいる。
当時子供だったこの子が俺の姿を見てくれていたのは嬉しい。

嬉しいが…、初恋…。

何だか…、面と向かって言われると恥ずかしいようなむず痒いような。

もし、俺の正体をこの子が知ったらどうなるんだろう。
今、こうして話してる相手が自分の初恋のレッドだと知ったら…。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ