
その瞳にうつりたくて…
第1章 過去と今
「それじゃあ、シチュエーションは、恋人にフラれたという設定で…。はい、スタート」
適当に涙を流せそうなシチュエーションを考えて、お題を生徒に投げ掛けた。
生徒達は思い思いの演技を見せてくれる。
大泣きするものもいれば、強がる演技をするものもいる。
そんな生徒達を見ていると、将来が楽しみな半面、ここにいる自分が嫌になる時がある。
この子達はこれから未来へ羽ばたいて行く金の卵。
だけど、俺はどうだ?
夢を追い続けて気づけば40歳。
今から一発逆転なんて無理だし、この年でチャンスが巡ってくるはずもない。
戦隊物が終わってからは、正義の味方の主役のイメージが定着したのかこれと言った仕事は回って来なかった。
エキストラ等のちょい役をこなしながら、いろんな事務所や監督に顔を売るも出番は増えない。
三十路を目前に泣かず飛ばずの毎日。
いよいよ芸能界から引退しようとしたが、戦隊物の俺の演技を見込んで当時所属していた事務所の社長から演技の指導員になって欲しいと言われた。
あの頃は主役に選ばれた事が嬉しくて演技にも大袈裟なぐらい力が入ってから。
それからずっと、ここで演技指導の仕事をしている。
断ることも出来たのに、夢に破れて東京を去るということがどうしても悔しかった。
ちっぽけなプライドと見栄から俺は指導員の話を受けたのだ。
適当に涙を流せそうなシチュエーションを考えて、お題を生徒に投げ掛けた。
生徒達は思い思いの演技を見せてくれる。
大泣きするものもいれば、強がる演技をするものもいる。
そんな生徒達を見ていると、将来が楽しみな半面、ここにいる自分が嫌になる時がある。
この子達はこれから未来へ羽ばたいて行く金の卵。
だけど、俺はどうだ?
夢を追い続けて気づけば40歳。
今から一発逆転なんて無理だし、この年でチャンスが巡ってくるはずもない。
戦隊物が終わってからは、正義の味方の主役のイメージが定着したのかこれと言った仕事は回って来なかった。
エキストラ等のちょい役をこなしながら、いろんな事務所や監督に顔を売るも出番は増えない。
三十路を目前に泣かず飛ばずの毎日。
いよいよ芸能界から引退しようとしたが、戦隊物の俺の演技を見込んで当時所属していた事務所の社長から演技の指導員になって欲しいと言われた。
あの頃は主役に選ばれた事が嬉しくて演技にも大袈裟なぐらい力が入ってから。
それからずっと、ここで演技指導の仕事をしている。
断ることも出来たのに、夢に破れて東京を去るということがどうしても悔しかった。
ちっぽけなプライドと見栄から俺は指導員の話を受けたのだ。
