
その瞳にうつりたくて…
第1章 過去と今
生徒達が俺の事をどう噂してるかぐらい知ってる。
加藤先生、略してカトセン。
戦隊物の主役を張っていたが、それからは泣かず飛ばずで今は指導員。
過去の栄光にしがみついてる。
しがみついてるつもりはない。
ちっぽけなプライドと見栄。
そして、少しでもいいから芝居の仕事に携わっていたかった。
だけど、最近ふっと思う。
俳優を志し、上京した時の情熱は俺にはもうない。
指導員…、俺は本当にこの仕事がしたかったのか?
俺がしたかったのは指導員なんかじゃない。
誰かに演技を教えるほどの経験も実績もない。
バカにされながらも生徒に演技を教える。
俺がやりたかったのは、本当にこんな事なのか?
――――「お疲れ様でしたー」
「お疲れ様でしたー。お先に失礼します」
「あぁ。気をつけて帰れよ」
レッスン室から次々と生徒が帰って行く。
芸能界というところは先輩への挨拶は絶対なのだ。
経験も実績もない俺でもこれだけは言える。
先輩や監督、プロデューサー、いろんな人達への挨拶を忘れてはいけない。
生徒達が芸能界へ羽ばたいた時に恥をかかないように。
「はぁ…」
1人になったレッスン室。
さっきはあんなに生徒がいたが、今は俺1人だけだ。
1人切りで鏡張りの部屋にいるのは不気味なものだ。
いくら見慣れた自分の姿でも、四方八方から見られてると思うと気持ちの悪いものを感じる。
加藤先生、略してカトセン。
戦隊物の主役を張っていたが、それからは泣かず飛ばずで今は指導員。
過去の栄光にしがみついてる。
しがみついてるつもりはない。
ちっぽけなプライドと見栄。
そして、少しでもいいから芝居の仕事に携わっていたかった。
だけど、最近ふっと思う。
俳優を志し、上京した時の情熱は俺にはもうない。
指導員…、俺は本当にこの仕事がしたかったのか?
俺がしたかったのは指導員なんかじゃない。
誰かに演技を教えるほどの経験も実績もない。
バカにされながらも生徒に演技を教える。
俺がやりたかったのは、本当にこんな事なのか?
――――「お疲れ様でしたー」
「お疲れ様でしたー。お先に失礼します」
「あぁ。気をつけて帰れよ」
レッスン室から次々と生徒が帰って行く。
芸能界というところは先輩への挨拶は絶対なのだ。
経験も実績もない俺でもこれだけは言える。
先輩や監督、プロデューサー、いろんな人達への挨拶を忘れてはいけない。
生徒達が芸能界へ羽ばたいた時に恥をかかないように。
「はぁ…」
1人になったレッスン室。
さっきはあんなに生徒がいたが、今は俺1人だけだ。
1人切りで鏡張りの部屋にいるのは不気味なものだ。
いくら見慣れた自分の姿でも、四方八方から見られてると思うと気持ちの悪いものを感じる。
