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「そうですねー…」

平井先生はうーんと悩みながら過去の恋愛を思い出していた。
それは遠い遠い過去の思い出なのだろうか。

「小学校三年生の時の同じクラスの男の子ですかね。サッカーが得意で夏場なんか毎年真っ黒に日焼けしてましたねー」

過去を懐かしむように平井先生は遠い目をしながらうっとりと語ってくれた。
幸せそうな平井先生の表情はレッドへの初恋を語ってくれた彼女によく似ている。

「その初恋の彼は今はどうしてますか？」
「さぁ、そこまでは。高学年に上がればクラスも離れ離れになりましたし、中学に入ったら話もしなくなりましたから。でも、割りと頭のいい高校に進学したとは聞きましたけど、今はどこで何をしてるかなんて」

あはは、と笑う平井先生。
それでも初恋の相手を思い出し、語って聞かせてくれる平井先生は輝いて見えた。

「その彼に会いたいって思いますか？」
「え～。そこまでは思いませんよ～。きっと今頃誰かと結婚して幸せな家庭を築いてるんじゃないですかね～」

初恋なんてそんなものか？
女性と男性の考え方の違いはあれど女性の方が考え方がさっぱりしてる。
切り替えも早い。
彼女の初恋の思い出を壊したくないからと言い訳をして
保身のために嘘をついてしまった…。

でも、そこまでする必要はなかったのかも知れない。
俺の考えすぎか…。