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その瞳にうつりたくて…

第4章 she is...

「でも、本当は初恋の彼に会うのはちょっと怖いです」
「えっ!?」

平井先生のその言葉に俺はドキッとした。
いや、今の自分の中で納得したとこなのに、いきなりそれですか…?

「私の中の彼はスポーツマンで爽やかで、日焼けした肌がとってもかっこよくて。今の彼は変わっちゃってるかも知れませんし、現実を見てがっかりしたくないって言うか…」

先程の幸せそうな表情とは打って変わって、しんみりと寂しげに語ってくれた。

「まぁ、これが女心というか…、初恋って特別なものですから。難しいところです」


…やっぱり、彼女に正体がバレるのだけは防がないとな。
彼女も、今の俺を見たらがっかりするかも知れない。
レッドを演じてた頃に比べたら俺ももうおじさんになったしな。

「まぁ、子供の頃の恋なんて麻疹みたいなもんですよ。加藤先生だって覚えがあるでしょ?」
「俺ですか?」

平井先生に言われて自分の初恋を思い返してみた。
初恋といえるかどうかわからないが、俺の初恋は小学一年生の頃。
それが思い出せる一番古い記憶。
確か、保健室の先生に恋をしていた覚えがある。

当時から体を動かすのが好きで、しょっちゅう生傷を作ってた。
その度に保健室に行ってた。
優しく治療してくれる保健室の先生の事が大好きだった。

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