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その瞳にうつりたくて…

第4章 she is...

でも、クラス変えがある度に他の女子にも目移りばっかりしてた記憶もある。
平井先生の言う通り、子供の頃の恋なんて麻疹みたいなものだ。
突発的で、その癖すぐに飽きて終わりを迎える。
長続きする恋愛なんて大人になってからしかしてないな。

「ところで、どうしてそんな事聞くんですか?」
「えっ!?」

あー、いきなり初恋の話なんかしたら怪しまれるよな。

「いえ、別に」
「えぇ~、怪しい…。何かあったんですかー?」

うわー、やべぇな。
話を振ったのは俺だけど、ここは話題を変えた方がいいな。
と、言っても適当な話題なんか持ち合わせてねぇし。
ビール一杯でホロ酔いになった平井先生はメニューを見ながら俺に疑いの眼差しを向けている。

「平井先生…、4歳の頃の記憶ってありますか?」
「4歳?あるわけないじゃないですか」

あぁ、すっげぇ早い回答…。


彼女が4歳の頃に俺が出演した戦隊物が放送されていた。
彼女は4歳の頃にテレビで俺を見て恋をしたって言ってたけど、4歳で恋心なんて芽生えるものなのか?
例え芽生えたとしても、この20年の間で冷めたりはしてないのだろうか?

「今日の加藤先生、何か変ですよ?」
「え?そ、そうですか?」

言われなくても自分でわかってる。
彼女と話してから情緒不安定になってる。
嘘を付いた罪悪感と、訳がわからない鬱々とした苛立ちが鬩ぎ合ってる。

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